桂史戯言vol.5
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「北伊太利亜で幸福!!!?」
 どうして秋も深まってもう冬になる北イタリアなんかへ出掛けて行こうなんて考えてしまったのだろうと思いつつ、ルフトハンザのフランクフルト行LH737便に乗ってしまったボクでした。そこからLH3860便(なんとターボプロップいわゆるプロペラ機)でTORINOに入ったのが午後も遅く、早速夕食の予約をと考えたがホテルで食事もつまらんなとウロウロとホテルの近くを偵察に出かけた。
大体TORINOなんて街は、海外旅行のガイドブックなんかにはほとんど載っていなくて書かれていても「イタリアで一番の工業都市で…」なんて云うのが関の山の場所だからあまり期待もしないでアッサリと通り過ぎてしまおうと思ってのブラリだからともう暗くなってきた街を、あっちこっちしていたら、目の前に急に黒ずんで大きく重そうな扉が、ボクを誘っているではないか、これはこれはとおそるおそる扉を開けてみると、そこには狭いフロアがあって階段が二階へ続ている。
そして料理の匂いがするではないか!ちょっとの勇気と愛嬌が無いと旨いものには、ありつけないものなので、足を階段にかけると、いきなり体格の良い親父さんが出てきて「まだだよ!」なんていわれてしまった。
(心の中で「じゃいつからなんだよ!」と思いながらやっばりここレストランなんだ…)こちらは笑顔で
「何時からやるの?」って聞いたら
「一時間半後!」
なんて云う愛想のない奴だなと思って仕方なく表へ出てブラリの続きをしながら、もっといいとこないかなってやっているうちに一時間以上も経ってしまい、さっきのレストランらしきところに戻ってきて重い扉を開けて階段を上るとさっきの親父が思いっきり愛想の良い笑顔で
「よくきたな日本人か?」なんて話しかけてくる。
こうなるとイタリア人というのは、結構いいやつじゃんなんて単純に思ってしまう。
片言の会話と、身振りでなんとかオーダーして、旨いものがもうすぐそこに、それじゃワインはピエモンテの地ワインをと・・
(TORINOのあるところがピエモンテ州、でこれから続く話は、北イタリアのパダナ平原ポー川の近くの街トリノ、ミラノ、バッサノ、ベネチアでのこと・・)
大体イタリアワインの格付けなんて結構いい加減でDOCGだろうが DOCだろうが少し混乱していて、
(これはDOCGや、DOCじゃなくても旨いワインがいっばいあるってことで)VdTヴィーノ・ダ・ターヴォラでもDOCデノミナツィーオーネ・ディ・オリジネ・コントロッラータよりも旨いものがありやっぱイタリアまで来た甲斐が、あったなあなんて思ってしまう。
(ところでDOCGや、DOCっていうは、イタリアワインの格付けのこと…それと最近日本にエノテカとかいうのが出来たみたいだけどENOTECAっというのはワインバーや食事の出来るバーのこと…)
ここでは勇気よりちょっぴり愛嬌ってやつでワインをオーダーする。この愛嬌というのが世界中どこでも財布の中身を救ってくれる。ところで日本でも安心して飲めるBaroloSperss(GAJA)も、こっちとのプライス差を、思うとグビグビそしてゴクゴクやれてしまう。
あんまりワイン講釈になるとなんだかアヤシクなってくるのでレストランの話に戻すと、
(ピエモンテ州はアルプスのすぐ南側にある、Piemonteというのは、イタリア語で 山の麓 って意味だから当たり前か)ここでの料理は、だし味が利いた京都や関西の味の雰囲気でハードな毎日を過ごしているぼくたちにはとてもホッとする感じがして「これってシアワセ…」ということでつづく…
to be continued...