桂史戯言vol.6
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「北伊太利亜は素敵!!!?」
 北イタリアの冬はけっこうきびしくて、こういう寒さの時は、街中で温かいトコロを目で探してしまう。特に具合のいい酒場はたまらない。そうそうそれからBASSANO(バッサノ)という素敵なトコロがあって、そこはMILANO(ミラノ)とVENEZIA(ヴェネチア)の間にある街で、人口は5万人くらいの昔は都市国家だったところだ。真中に河が流れていて、「屋根のある橋」がかかっていて、なんだかこの橋が街の中心(本当はお城の方がそうなんだろうけど)になっているように感じてしまう調和のとれたところだ。
この街は正式にはBASSANO del GRAPPA(バッサノ・デ・グラッパ)という名で、
GRAPPA(グラッパ)の発祥のようなところである。
 ところでGRAPPAというのは、MARC(マール)と同じようにワインをためた葡萄をしぼった後のしぼりカスでつくる、とっても強い蒸留酒である。ただしぼりカスと言っても、安いものではなく、相当値の張るものである。中にはしぼりカスではなくて、
ちゃんと葡萄を使って作っているものもある。
色も香りも様々で味もいろいろあるとてもぜいたくな焼酎のようなものである。
 イタリアのボリュームのある料理を食べた後は、エスプレッソとこの強いグラッパをぐいとひっかけないと食事が終わったような気がしなくなってくる。それくらいくせになる酒だ。
 ここには、あのMontegrappa(モンテ・グラッパ)社がある。Montegrappaというのは、万年筆のメーカーで、ヨーロッパでは一番古く、以前はあの文豪ヘミングウェイがアドバイザーをやっていた会社である。30人そこそこの会社で世界を相手にしている。ここの社長はGiuseppe Aquila(ジュゼッペ)といい、28歳の若さだ。このGiuseppe 氏にバッサノの案内をしてもらいながらとても素敵なお昼をごちそうになった。
食事の最中にでたVINNOVA(ヴィーノノヴァ)1998は、新しくてもフランスのボジョーレヌーボーとは比べものにならないほどおいしい。
食事はフンギポルチーニをふんだんに使った直径60cmのピザ、その上トリュフも散らしてあるとんでもないピザである。これを食べながらそんなワインを飲んでいるため、気がついたら3時間近くも昼食の時間をとってしまった。終わりがけには、レモンとハチミツをたっぷり入れたグラッパと、コーヒー味のグラッパが出され、Giuseppe くんとっても愛してる状態になってしまった。お腹がいっぱいな幸せな状態で街を案内してもらって(こんな時はどんなところでもいいから休みたいと思うのだが)、そのうち先程話に出てきた橋にたどり着いた。
ここでバッサノの街の成り立ちを書くと、
ここはまさにアルプスのピエモンテ(山の麓)で、昔はアルプスを越えて攻め込んでくる敵から街を守る山岳警備隊員-アルピーニたちが常駐していた場所である。
そのアルピーニ達が毎夜たむろしていた酒場がその橋のたもとにあり、開店してから約1000年にもなるというものすごいところである。しかしやっている年数の割にはこじんまりとしたいいトコロで、酒の計り売りをするカウンターのある場所とテーブルのあるところに分かれていて、カウンターは7〜8人でいっぱいになってしまう場所である。ここがまた素敵な場所で、
いわゆる立ち飲みでグラッパを引っかけるというヤツで、立っている足がふらついて、もっと飲み続けていたくなる場所である。
この近くにはGRAPPA博物館というべき「MUSEO DELLA GRAPPA」があり、ここは3LDK位の広さなのだが普通のBASSANOの家を利用して、改造せずに博物館として使っているのでフンイキは抜群に良い。
こっちは照明がやっぱりすごくて何だか友達の家へ遊びに来たような感じでいられるのも良い!
ここでGRAPPAの試しのみのためのセットもあるくらい入れ込んでいる。
ここで売られているPOLI社のGRAPPA「GRAPPAIOLI」が最高である。
こんな場所がいっぱいのメチャクチャにフトコロの深い伊太利亜は本当に素敵・・・。
to be continued...