理事長からのメッセージ

地球という限られた環境の中で生きる私たちにとって、今、「食」という行為と、「食材」そのものが大きく見直されなければならない時期に来ているといえます。ファストフードが問題だとかいう単次元な話しではなく、また、希少な食材であったり、珍しい食物を保護とか保存するといったカタチをとるだけでは、私たちの生活は、とても解決しない慌ただしさに追われた状況になっています。それゆえに未来を見据えた広い視野を持ち、生活全体を見直すことが必要になっています。


日本の新しいフード活動は始まったばかりです。日本では“活動”という言葉に置き換えなくとも、古来から自然で低カロリーな米食や郷土食、そして地方の特色ある食材や日本酒、焼酎があり、日常の中で「ジャパンフード」が実践されてきました。しかし一方では、流通や販売の方法により、北海道から沖縄まで同じ食材で同じ味の食事をするといった画一化が進んでいます。そのような中で、伝統的な食材や各地の郷土料理を体験したり、日本酒を酒米から研究し調査するといったことに挑戦し、加賀野菜といったような小規模生産のよい素材を守っていこうといったことを進めています。そして、子供たちへ味覚の教育を行なうという『食育』の準備も始めています。現在、世界では「農業や漁業そして醸造といった食の生産の場」から「人の食事」に至る道程が見えなくなり、自分たち自身の生活のスピードも把握できなくなってきています。ここで一度立ち止まってしっかりと「生活」と「食」を見直すことが、未来につながる道をつくるのではないでしょうか。