|
物質的な豊かさを求めていた時代には、「衣」や「住」を充実させることが、「豊かさ」につながると考えられていました。しかし、バブルが崩壊し、「もの」や「環境」に対する価値観を根底から考え直さなくてはいけない状況に置かれたとき、わたしたちは「心」や「からだ」が健やかであることに価値があると考えるようになってきました。すなわち「生活」を充実させることで、「人生」が豊かになるということです。そんな中、現代の食卓は、個食化などといわれ、それぞれ個人が好きな時間に好きなものをひとりで食べるという状況になっています。こういう食環境に陥りその結果偏食などから、アトピー等の皮膚病への傾向が強くなったり、骨が弱くなったり、軟食が原因で歯並びが悪くなったりと、様々な現象になって現れてきています。食を正しくするという、その一見単純で簡単に見えることを行っていくには、素材の生産の場から、その食材と調理方法、食卓の在り方、果てはそれぞれの生活の在り方や、社会環境まで考えて行動することが必要になります。そういったことがわたしたちの明日を支える健康な身体を作ったり、ポジティブな生活を創りだし、しいては社会的なさまざまな問題への解決の一端を見いだすことへも結びついていくでしょう。「ジャパンフード」という言葉は、この混とんとし混乱した時代にあって、「人間の存在」への問い掛けのキーワードになってきているように思えます。 |
|